旅に出かけるのは

中学生の時に、自転車旅行を夢見ていました。伊豆半島を回り、なぜか、小さな湾のキャンプ場を目指したいなどと思ったことをずっと憶えています。家にいるが嫌だったのか、学校が嫌だったのか、というよりも、とにかく、自転車を買ってもらったので、どこかに行きたいという思いが強かったようです。

転勤は、仙台、名古屋は家族同伴で、東京に戻って高松は単身赴任で、そして東京に戻ってきました。国内出張は多く、海外もアジアとアメリカ中心に二十回位出かけました。別の世界に行き知らない街を巡るのは好きで少しわくわくしていました。ただ、乗り物に乗るまでは神経質になっていた時期もありましたので複雑でした。時間と共に飛行機も好きになりましたが、搭乗前におまじないを唱えるのは変わらないです。

家族と車で色々出かけるのは好きで転勤先でも一緒に旅行し、八十八カ所も巡りました。愛犬(チワワ)も当然一緒です。しかし、宿泊場所に苦労しました。基本はペットOKの宿泊先を見つける、又は現地のペットホテルに泊めていましたが、時には、愛犬(チワワ)を車に残してしまうこともありました。ちょっとかわいそうですし、周りの方に迷惑をかけていないかと心配でした。

ということで、愛犬と一緒に旅するため、四年前にキャンピングカーを購入する決意をしました。
ロータスRVさんのMANBOWです。

そして、“方丈号”と勝手に名付けています。鴨長明さんの方丈記から拝借した名前です。

「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある人と栖(すみか)とまたかくのごとし」とても有名な序文ですが、ここに長明さんの気持ちが込められています。

キャンピンガーの広さ(4.88×1.88m=9.17㎡)は、方丈庵(3.03×3.03m=9.18㎡)とほぼ同じです。そして、方丈庵は分解して荷車2台で運べるように、長明が設計していたと伝わります。
なにか、方丈庵は平安時代のキャンピングカーのようですね。

松尾芭蕉の奥の細道に旅心を刺激され、さらに西行、能因の旅と歌の世界を垣間見て、長明の言葉に無常感を知るに至りました。下ると、東海道中膝栗毛もあります。戻って上ると、伊勢物語、更級日記など旅をすると何か書き留めたいという先人たちの気持ちが伝わってきます。
その時その場で受けた気持ちを歌に込めたり、文に綴ったりしています。そのような先人たちにあやかり、そのまねごとをしてみたいと思うようになりました。

因みに奥の細道の冒頭は、「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死せるあり。」です。

そして、旅する私は、西忠行と申します。
本名は岸本忠也ですが、最も興味深い西行法師にあやかろうと、字をいただきました。
社会人生活では仕事優先で、見聞きしても感じられなかったこと、ただ通り過ぎてしまったことも多かったと思います。

これからは、美味しいものと暖かい温泉を楽しみつつ、名所、旧跡、遺跡を辿ります。そして、先人たちがどう感じ、どう考え、何を行ったか、又、その時にどんな歌をうたい、文を綴ったかなど興味は尽きません。自分の目で見て、耳で聞いて、少ない頭で少し考えてみます。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました