高千穂で遊ぶ 2022.11

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11月の九州旅の「高千穂で遊ぶ」です。

高千穂は二つあります。宮崎県北部の高千穂町と南部霧島連峰の韓国岳を中心とするエリアです。
奈良時代前の北の高千穂は、阿蘇山から東南の日向、肥後の両国にまたがる広いエリアでした。
縄文時代から弥生中期までの遺跡が重なり、人々が古くから生活していました。
天孫降臨は、北部九州勢(高天原勢力)が、この高千穂エリアを経由して、南の南部九州勢(日向)に攻め込み治めたことを指している考えるのが合理的でしょう。
「降りる」は「下る」と同義で、中央から地方に移動することを下ると今でも使います。
「天から降りてきた」は「北部九州=高天原」から地方の南に進軍してきた、と言う事です。

神武東征でも、神武天皇は熊野山地から吉野宮滝に降りて、そこを経由して奈良盆地(橿原付近)に攻め込んだという話にして、天孫降臨と基本的に同じ構図で描写しています。
この高千穂と吉野宮滝はよく似ています。標高、気温、降水量はほとんど同じ自然環境です。

さて、この高千穂エリアは天孫神話を創作する舞台、素材が豊富に揃っています。その舞台を訪れ、現代までつながっている舞いなどを見てきました。

阿蘇大観峰の眺め H936m
先ずは、阿蘇山大観峰です。ここまで高いところを経由したかどうかは判りませんが、この眺めを北部九州勢は知っていたでしょう。高千穂よりもさらに高く開けたところで、噴火という超常現象を引き起こす天に模した可能性もあります。
当日は、靄っていましたが、この景色を眺めると気持ちが落ち着きますね。

高千穂で遊ぶ H216m(高千穂神社)
高千穂は、天孫降臨の場所の高千穂神社、高千穂峡、櫛降神社のエリアとその前に天照たち神々が集った天岩戸、天安河原がある場所の二つに分けられます。前者は正に進軍してきた場所で、後者は後付けで天岩戸、天安川という素材を神話に盛り込んだと思えます。

中心の高千穂神社では、夜神楽祭りがおこなわれていました。小説などでも描かれる夜神楽の一部を見ることができました。夜神楽開始まで高千穂峡でボート遊びも出来ました。

高千穂中学生たちが棒術と薙刀の練習風景

夜神楽の33番と1番
全体では1番から33番まであり、全てで神話の世界が演じられます。
中学生たちも本番で披露していました。

念願の高千穂峡の手漕ぎボート
高校生の時に千鳥ヶ淵で鍛えた成果で他の人たちよりスムースに漕いで回れました。
岩肌から流れ落ちる滝は、神話創作にインスピレーションを与えたでしょう。

櫛降神社は静か
ご神体は山です。おそらく3世紀以前、もっと前から自然信仰の対象だったのでしょう。列島全体は山と川、生命の循環を元にした自然・祖先信仰が根付いていましたが、ここ、高千穂にも同様に天孫降臨の世界を創る下地がありました。
この山、この神社は自然神の象徴、大物主が祀られていると考えられます。

櫛降と言う名前でいつごろから呼ばれていたのでしょうか?
4世紀頃でしょうか?その頃から天孫降臨神話が語り始められたのかも知れません。
「くしふるの峰」に降り立ったと伝わります。静かな神社で、ご神体は「くしふるの峰」です。

閑話休題) 櫛は不思議
古代、櫛には不思議な力が宿っていました。
伊耶那岐が櫛の歯で火を灯すと伊邪那美の変わり果てた姿が見え、その櫛(歯を投げるとタケノコになり、時間稼ぎしている間に黄泉の国から脱出しました。
素戔嗚の奥さんは名前は、”櫛”稲田姫(くしいなだひめ)
倭建の奥さん弟橘媛が浦賀水道に身を投げ嵐を収めると、奥さんの櫛が海岸に流れ着きます。
更に、4世紀の崇神期に大物主と結婚させられた倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)が、夜大物主を探すと”櫛”箱の中の小蛇が見つかったという話が伝わります。

今の岩戸は賑やか
ご存知、天岩戸伝説の舞台です。天岩戸は撮影禁止です、二度目の対面です。
天照が岩戸に隠れたのは、卑弥呼が亡くなったことを指し、出てきたのは娘の台与に代替わりしたことを象徴していると言われています。当時の皆既日食現象を合わせて物語化しました。

但し、国立天文台の方が調べると、247年の日食は西日本では皆既ならず、248年の日食も日本では皆既にならなかったようです。唐書などを参考に架空の日食を記述したのでしょう。
この辺りにも神話創成が垣間見えます。

岩戸が飛んで戸隠へ
天手力雄がこの岩戸を開けて磐を投げると、日本の中央の戸隠に飛んでいきました。
そこが戸隠神社があります。ご神体は戸隠山ですが、その岩戸(磐座)を指しているのでしょう。
又、本殿隣には龍も祀り水に縁があります。
こちら戸隠神社もご覧ください。

天安河原は狭い
岩戸神社の上流に天安河原があります。道から下って川沿いに少し歩くと大きめの洞穴があります。
岩戸を開ける相談をここで神々が行ったといいますが、神々が集まるにはちょっと狭いですね。
天岩戸とこの天安河原は、物語に合わせて場所を選定したか、この場所をみて物語に肉付けしたという印象を受けました。

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